寂しいのはボクだけだって思ってた。 本当は厄介払いだったらどうしようって。 そんな訳なかった。 時差があるのに毎日ボクが寝る前に電話を、手紙もメールも沢山くれる。 紫苑の花言葉なんて知らなくても、ちゃんと愛情に気付けた筈なのに。 ごめんね爸爸、媽媽。ありがとう。 大好きだよ。/謝罪 *―*―*―*―* 沢山の人の希望になれと両親が発明したヒーロースーツ。 二〇年経った今も僕や僕の大切な仲間を、この街の人々を守ってくれている。 もう四半世紀先にはどう発展を遂げるのか。 それは折紙先輩達が見届けてくれるだろう。 そして更に次の世代へと、彼らの願いはきっと繋がってゆく。/半世紀 *―*―*―*―*「ここをダーッと行って三つ目を右にガッと曲がって、そのまんま坂を下って左から二つ目をビッと行きゃあすぐそこだ」「この通りを真っ直ぐ、三つ目の信号の角を右に、坂道を少し行けば三叉路になっていますので真ん中の道に入ればすぐ左手に看板が見えますよ」/角 *―*―*―*―* 通りゃんせ通りゃんせ。 行きはよいよい戻るはならぬ。────こっちに来てもいいの?「どうしてそんな事訊くんだよ」────よく考えて。思い出して。「お前がいなきゃ生きてる意味、なんて……」────本当に?「……楓の花嫁姿が見たい」────それだけ?「母ちゃんにも兄貴にも、まだ。それに彼奴等。俺がいなきゃ悩み相談する相手他にいねえし。手のかかる相棒も……、俺がジェイクに負けたから次は彼奴で」────。「ごめん、まだそっちには行けねえや」────どうして謝ることがあるの。貴方を送り出すのはわたしの特権なのよ。────いってらっしゃい、あなた。/一方通行 *―*―*―*―* 病室は冷たかった。 母が何か言ったが、ただ音が響くだけ。「……友恵」 寝台の脇に崩折れ、白布を払った。 取った手は握り返される事なく滑り落ちる。「俺、今日は沢山人を救けて犯人捕まえたんだぞ」────見てたわよ、大活躍だったじゃない。 記憶と写真の中でしか妻はもう笑わない。/滑り落ちる
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