「オマエら折紙が見切れないよう抑えとけ」「また写真ですか」「子供はすぐにデカくなっちまうからな。ほら、バニーも入れ」「ぼくはもういい大人です」「オマエさんの場合はコレ」 渡されたのはサマンサおばさんの形見のアルバム。僕の四つのクリスマスが最後の。「残りのページ全部さ、埋めてやろうぜ」/記念撮影 *―*―*―*―*「さあ、次は誰かしら?」 舌舐りするその様は小動物を甚振るのを楽しむ女豹。細められた双眸が鋭い光を放つ。今の姿に比べれば普段は慎ましやかとさえ言っていい。 本気を出したネイサンの前に男たちは尽く大敗を喫した。 身包みを剥がされて震える戦友の有様に肝が冷える。/野球拳 *―*―*―*―* ヒーロー好きだったらしい妻はイベントに分刻みの予定を立てる。 毎日疲れ果て、ホテルに帰れば即、就寝。新婚の甘い夜は何処へやら。 そんな旅行先での生活は二週間続けられた。 街を去る日、俺はシュテルンビルト限定折紙ロックハイプラモセットを買って帰る事にした。 忍者に騎士に戦車。男の浪漫だ。 今度来たらブルーローズちゃんのサインを貰うんだ。/ハネムーン *―*―*―*―*「娘と亡き妻に誇れる己でいる為だな」「両親の遺志を継ぐ為に」「私の能力で救える人がいるの」「力の使い道を他に思い付かなかっただけさ」「世界中の人が助け合う契機になりたい」「故郷の家族に格好良い所を見せたいんだ」「この美貌を皆に届ける義務があるのヨ」「親友との夢を守る為」/なぜなら *―*―*―*―* 人酔いをして逃げ込んだ港。桟橋の先には先客が居た。 仕立の良いスーツに眼鏡。およそ釣人には見えない男が近海に糸を垂らしている。「釣れますか?」「釣れますよ」 魚篭は蛄なのに男は即答した。「大きな魚……いや、金塊がね」後の見切れ職人と若き金融王との出会いであった。/きんかい
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